明治・大正の名著の姿かたち

名著復刻全集(近代文学館)が並ぶエクスプランテの本棚
名著復刻全集(近代文学館)が並ぶエクスプランテの本棚

 

一芯社が東京事務所を置いている出版社エクスプランテの空間は、まさに本の巣窟です。

 

本の海の中でも、特に気になっていたのが、日本近代文学館による『名著復刻全集』(昭和43年)。

与謝野晶子『みだれ髪』
鳳晶子の名義で出された、与謝野晶子の処女歌集「みだれ髪」

お馴染みの「名著」が、明治・大正から昭和(戦前)にかけて生みおとされた当初の姿を再現したシリーズです。

 

一芯社で編集作業を進めている書籍のデザインの参考に・・・と、これらの本を改めて紐解いた機会に、ことさら目にとまった何冊かを撮影させていただきました。

本サイトの新コーナー、Book Labo.
生まれた当時の名著のかたち」と銘打って整理したので、ぜひごらんください。

 

 

たとえば、1901年(明治34年)発表の与謝野晶子の歌集「みだれ髪」。

 

当初の姿は、わりと薄めのソフトカバーの表紙に、9センチ弱×20センチという小ぶりなサイズ。

集印帖のような感じで片手におさまり、持ち歩きにちょうどいい。

 

藤島武二が装丁したという表紙絵は、

「みだれ髪の輪郭は恋愛のハートを射たるにて

矢の根より吹き出でたる花は詩を意味せるなり」

ということらしい。

でも、“みだれ髪”というよりは、ゴーゴンのような凄味や悲しさを感じるのは私だけでしょうか・・・

当時、こんなハイカラな表紙の歌集を鞄にひそませて、時折手にとって眺めた女子たちは、

歌の内容も内容だけに、どんなにドキドキしながら文字を追ったことでしょう。

紙面のデザインも、大胆な三色刷りがカッコよく、必見です。(→中身はこちらからどうぞ)

 

その他の本たちも一冊一冊、各々の凛とした佇まいをもっていて、

手にとる者になんとも言えない、ワクワク感を与えてくれます。

 

花柄の布張りや繊細な箔押しがされた表紙、美しい紙箱のケース、

読者がページをペーパーナイフで開きながら読み進んでいったというフランス装、

字が踊るように並べられた活字の文字・・・

 

モノとして本が生き生きしていた時代の、

本づくりに携わった人々の心意気、そして読者の熱気が伝わってくるよう。

力強いブック・デザインが少なくなっている現代、

少しむかしの先輩達から学べることは、たくさんありそうです。

 

(ニワ)

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