(一芯社の仕事ではなく)丹羽の研究者としての仕事ですが、
4月中旬に『ものの人類学』という研究書が京都大学出版会より刊行されました。
この本、表紙が1冊1冊すべて違っている、というのが少し自慢なんです。
というのも、私のフィールドである中国陝北地方の農村に住む女の人たちの手づくり剪紙(切り紙細工)の実物が1冊に1枚、ついているのです!
『ものの人類学』
床呂郁哉・河合香吏編
京都大学学術出版会/東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(2011)
*丹羽は第一章「かたち・言葉・物質性の間:陝北の剪紙が現れるとき」を執筆させていただきました。
この本は、2007年から3年間つづいた東京外大AA研の研究会の成果論集ですが、
“「ものの人類学」と題しているのだから、「もの」をつけようじゃないか!”
という編者の先生方と、京大出版会の鈴木さんという心意気のある編集者の方のご尽力で、実物の剪紙をつけることになり、丹羽が手配させていただきました。
中国・延川県の民間芸術の指導者である馮奮氏に3000枚を依頼して、たくさんの女性に何カ月もかけて切っていただいたのですが、先方に伝えたのは、8センチ角に収まるサイズであることと、多様な図柄を入れる、という二点だけ。
そんなこんなで、絵柄も動植物から人物(おばけ?)まで多彩な、
気合の入った匠の技的なものから、かなりテキトーなゆるい感じのものまで、本当にさまざまな剪紙が集まりました。
自分のところにある分だけでも、手元にあるうちに記録しよう!と写真を撮ったので、ご紹介します。
本書の巻頭には、「ものをして語らせよ!」というカラー写真のコーナーもあり、面白い構成です。インドネシアの仮面からアフリカの家畜、真珠、土器、布、はたまた精力増強剤まで、この本で論じられるさまざまな「もの」がイメージを通して、まさに語りかけてきます。
以下、本の紹介です。
【内容】(出版社のサイトより引用)
「人を動かすのはモノである。だからこそ、いわゆる物質文化研究ではない、真に【モノを主人公にした】人間中心主義を 越えた人類社会論を構 築するのだ。熟練の逆説/ものの介入/記号的なものの物質性/アフォーダンス等々——音や会話といった事象をも対象に斬新な方法・ 視点と溌剌とした議論で、新しい人類学を拓く秀作。」
詳細や目次は、京大出版会の紹介サイトからどうぞ。
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